にっきもどき。

ちんぽから社会問題まで広く扱いますが日記らしい日記はひとつもないらしいです。現場からは以上です。

それぞれの9秒

電車に乗っているといきなりAirDropが飛んできてですね、困惑したんですよ。

 

なぜならいっときこのAirDropを使った悪質なAirDrop痴漢というものがあってですね、いきなり見たくもないとんでもない画像が送られてくるという一方通行で極悪非道な所業が流行ったんですわ。


しかし、iOSもそりゃ勉強させてもらいましてね、事前に「◯◯のiPhoneが1枚の写真を共有しようとしています」とか表示させてですね、画像は見えないんですよ。こりゃ神設計だなと思い感心したんですよ。


しかし、それと同時に人間は罪な生き物ですよね。押しちゃダメと言われたら押したくなるんですよ。

 

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このtyosinsokuというめちゃくちゃ早そうな奴はいったいなにを送ってきたんか気になるわけですよ。もしかしたら、とんでもないグロ画像かも知れないし、胸躍るようなムフフな画像かも知れない。


漢字に直すと超神速っていうくらいだし、なにか速いものかも知れない。電車に乗ってるからN700のぞみか?いや、F-1界のレジェンドミカエルシューマッハか?はたまた人類最速の男ウサインボルトか?シドの飛空挺?エンタープライズ?ノーチラス?インビシブル?はたまた、提供スピードの早いことで有名な吉野家なんてトリッキーな発想も出てくる。


まぁ想像を膨らませるだけ膨らませて押さないが普段のチキンな私なんですが、今日は違ったんです。


不平等さが嘆かれる現代社会において、もう時間という概念だけが平等に与えられた天物であり、なんと時というのは人類皆同じペースで刻むんです。


しかし、それは状況に応じて、価値が大きく変わるわけです。有名な例えでいくとカップラーメンを待つ3分なんかはとても長く感じるわけですし、ウサインボルトは100mを9.58秒で駆け抜けるわけですからね。9秒でなにができるっていう話ですよ。なんにもできませんよ。まぁこのように普段からぼんやりと生きてるような私とは違って勝負の世界で生きている人間にとっての1秒、いや0.1秒は、そそり立つ壁のように目の前に立ちはだかるわけです。

 


先程、電車が駅で止まって乗客を入れ替えした際にですね、今風の可愛らしい大学生が乗ってきたんですよ。彼女は外を見ながらそれはもう幸せのお手本のような笑顔を見せてるわけですよ。それは、初孫を抱く祖父母のような優しい顔でしてね、大槻班長カイジに話しかける顔が100歩譲ってゴミ屑だとしたらその100億光年先に彼女がいるわけですわ。


手の振り方もね、小さいんです。もうね、動作が小さい。振ってるのか?ってなもんでしてね、敵国の警察組織に潜り込んだ諜報員が、同じく敵国の政府に潜り込んでいる味方にすれ違いざまにUSBを渡すようなそれくらい繊細で周りに悟られないような動作なんです。オックスベル16点鐘なんてもんじゃないですよ。


これはどう考えても彼氏ですよ。しかもこりゃ付き合いたてやな!ってなもんですわ。もしあの手の振り方が何かの2人だけの秘密のサインだとしても、愛してるとかまた明日とかそういう類のサインに違いない。


いやー、これが令和の恋愛!もう熱々すぎて満点大笑いあげちゃいます!これでご勘弁いただきたい!!!!てなもんですわ。


そりゃ相手もたいそうな好青年なんだろうと思いますが、さすがに振り返って見ることはできないわけですからね。キモすぎますからね。致し方ないのでその所作の一連を眺めてたらですね、目の前にいたのにどっか行かれました。

 

まぁその彼女と彼氏のドアが閉まって動き出した電車が2人を物理的に見えなくするまでにかかる時間を9秒としましょう。この9秒の間、きっと2人はあまりにも一瞬でそれはもうメルティーキッスくらい甘くて愛おしい時間なんですわ。


一方その頃僕ですね、早く家に帰りたいからはよもっと電車よ真面目に走れー!てな具合で考えてるもんだから、えらい長く感じるわけですわ。もうね、あたりめです。やっすいあたりめって噛んで味が出てくるまでに時間かかるでしょ?あれと同じです。

 

そりゃ味のしないあたりめ噛んでたら暇になってしまうのも仕方ないので、ついついガン見してしまって避けられるわけですわ。


まぁ同じ9秒でもこうと違うのかと。

 

クロノスタシスという時計の針が止まって見える現象があるんですが、まさに彼らは現象ではなく本当に時が止まればいいのに。そういう思いで別れを惜しんでるわけです。


インターネットの爆発的な成長により、我々はある種、孤独を失ったわけです。LINE、メール、電話、SNSといったコミュニケーションツールは、いつ、どこにいてもなにかしらで繋がっていれば、簡単に連絡が取れてしまうわけです。


小学生の時に転校して一生会えないと思っていた友達にFacebookで再開したり、もしかしたらもう二度と会うことはない友人ですらSNSでなんとなく動向を知れたり、さようならがくれるあの特有のノスタルジックさ、胸を打つような切なさは、時代とともに覆されたり、薄まったりしているわけですね。


そんな中でこの子はこんな表情ができるのかと思ったらですね、もうおじさんも胸打たれました。またすぐに会えるし、LINEとかしちゃうんでしょ?

 

普段なら2年後強くなって会おうとか、ましてや愛別離苦なものでもなかろうに。なんて斜に構えたこと思ってしまいますが今日はそうはならないわけですよ。


なので、この超神速さんのiPhoneから送られてきた画像を受けてみようと、そう思ったわけであります。


けして、ノスタルジーな何かを期待したわけではなく、いったい彼は私にどんな時間をくれるのかと。


そう思って受けた画像がですねこれです。

 

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「9秒カレー高砂店」

 

 

 

 

???????????????

 

大パニックですわ。だってカレー屋ですよ?

なんでも9秒で提供できなければ返金だぁ?
大盛り無料?
お持ち帰りできるってことは食べて帰れることもできるってこと?価格据え置き?増税したのに?
しかも、調べたら関西にねぇじゃねぇか…
 
どういうこと?なんの暗号?

 

でも…

 

こりゃ早い。想像より早い。いや、こりゃとてつもなく早い。どれくらいは早いってそりゃウサインボルトより早い。

 

あんまり早かったんで世界一早いのは9秒カレーと思ったんですが。家に帰ってメルティーキッス食べたらもっと早かったんで暫定1位はメルティーキッスです。

 

あたりめは、顎が疲れるんで失格です。

 

現場からは以上です。

 

fin