深夜にたどり着いた公園と、地味なハロウィン
こんばんわ。はるぎくこです。
ここ数年で、恐ろしいくらいハロウィンが浸透している。
行ったことないからわかんないんだけど、トリックオアトリートなんて誰も言ってないんだろう。
幼稚園とかで、子どもたちが魔女だったりドラキュラだったりそういう西洋の定番怪物にゆる~いレベルで変装して、お菓子を食べるくらいのイメージしかなかった。
でも今は違う。
ZIMA片手に、若い男女が「我ここにあり!!!」と言わんばかりに大暴れしてるイメージしかない。実際去年は渋谷で酒と雰囲気に飲まれた若者達によって軽トラが倒されて逮捕者まで出るニュースもあったくらいだ。
ひどい。ひどすぎる。なにがトリックオアトリートだ。軽トラなんぼするか知ってるのか?トミカじゃねぇんだぞ?
多分最初はドン・キホーテで買ってきたコスプレ用具でクオリティの低いなんちゃってから始まったと思うんだけど、ネットニュースなんか見てても、女性たちは持ち前の技術を活かして結構ガチのゾンビメイクをしていたり、西洋の怪物とか全然関係ないジャックスパロウとか、トラガルファー・ローとか、はたまた映画泥棒だったりそういう自分の好きなものに化けてたりなんでもありだ。
ドン・キホーテに売ってる亀仙流のスウェット来て「オッス!おら悟空!」とか言ってたクラスのヤンキーたちは今なにをしてるんだろう。
まぁでもとにかく今も昔もハロウィンとは?ということより、いかに目立つかがメインなのだろう。
陰の者としては、肌が合わないというかなんというか流行りすぎたイベント事は怖い。
気分を味わうなら、かぼちゃの煮付けだけで十分だし、なんなら毎日島耕作のコスプレしてるようなもんだし。
世の中には、地味なハロウィンというイベントもあって、「あー、いるいる。そういう人」みたいなことをやってる。これも結局大喜利大会みたいになってて、初期のニコニコ動画を思い出した。ただ、ハロウィンと言ってるだけで、こっちは本当にハロウィン感はないけど、見てて面白いからこのままの規模で継続してほしい。
地味なハロウィンが地味じゃなくならないよう祈っている。
しかし、どこに行ってもジャック・オー・ランタンだらけだ。
イベントが終わった瞬間に、全て片付けられて一気に季節は冬になる。
寒さがひどくなるにつれてクリスマスムードは高まっていき、気付けば今年も終わってしまう。
なんだかそう思うととっても悲しい気持ちになってきた。
イベントに参加しないってことは世間から取り残される気がして。
その日はなんばを歩いていた。平日、ましてや月曜日の夜なのにメイドカフェの呼び込みのお姉さんは、メイド服の上から黒いマントを被り、申し訳無さ程度のハロウィン感の醸し出していた。もしかしたらただの防寒具だったのかもしれない。
道頓堀は、恐ろしく人でごった返してたし商店街もハロウィン一色だった。
この街でハロウィンを体感してないのは自分だけじゃないのか?なんて気持ちになる。地雷原で休まる場所がないなんて馬鹿なことつぶやいているのとなんら変わりがない。
だからといっても今から飛び込みでどこかのイベントに参加するなんてまっぴらごめんだし、行ったとしても現実的に考えてコミュ障にはきつい。何より一人だ。月曜日の夜なんて全員もれなく家に帰りたいだろうし、こんな日に誘える友達なんか居ない。たとえ、酔に任せてイベントに参加したとしてもきっと後悔して帰り道に辛くて泣いてしまうかもしれない。
結局誰にも関わらずに雰囲気だけ楽しめるなら家でやるしかないか…
でも家でコスプレするのってなんか虚しいよね…
うーーーーーん。
「地味なハロウィンってハロウィン感ないよね。」
「街でやってるハロウィンってなんか怖いよね。」
「家でコスプレするのってなんか虚しいよね。」
つまり、ハロウィン感があって地味で、家以外の場所でやればいいのか。
ふむふむ。うーーーーん。
深夜の公園だな。深夜の公園でコウモリ男になろう。
そうして僕は深夜の公園でコウモリ男になることに成功したのだった。
コウモリ男になって見上げた夜空は、星1つなかったがいつもより広く美しかった。
静寂に包まれた住宅街。中年男性が滑り台に足をかけてぶら下がっている。
ここに本当のハロウィンがある。
そう信じざるおえない素敵な夜だった。
そして本当に人に見られなくよかったとおもっている。事案にならなくてよかった。
fin